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常盤は、牛若を胸に抱き、今若、乙若の手をひいて、大和の国へ向かいました。
大和の国の宇陀というところに、とおいしんせきがあったからです。そこにかくまってもらうつもりでした。
朝からはげしく雪の降る日でした。
雪は容赦なく親子にふきつけ、道も見えないほどに降り積もってゆきます。
「今若、がんばるのですよ。 乙若、もうすこしですからね。」
都から笠置、そして柳生へ。人目をさけ、道なき道を踏み分けての、心細く、つらいつらい旅。