西穂高岳2909mから奧穂高岳3190m

2011年7月26日〜28日

一般登山では最も難しいとされる西穂高岳から奧穂高岳への縦走です

行程はすべて岩稜で、手掛かり、足掛かりをさがしながら、10時間近くの上り下りを繰り返します
コースはお天気によって難度が随分変わります
この日は曇りから霧・雨・そして猛烈な風となり、難しい縦走になりました







早朝に上高地を出発
「河童橋」を渡り右岸へ




穂高連峰は雲に隠れています





右岸を下流に向かって歩き‥‥‥




ウエストン碑









田代橋の近くにある西穂高登山口








西穂山荘めざして林間のきつい登りです









木々の間から上高地が見えます


















稜線に乗り上げると焼岳への分岐です














西穂山荘が見えました
上高地から約3時間半




山荘前には次々と人がやってきます
新穂高のロープウェイから来る人がほとんどですね









名物の西穂ラーメン




明日の天気がややこしそうなので、今日中に独標をめざすことにしました
山荘前からゴロゴロした岩場を登っていきます






下方には上高地、赤屋根は帝国ホテルでしょうか







丸山



独標への道



晴れ間が見えたときに行く手を撮影
右から独標、ピラミッドピーク、その左が西穂高岳




独標に立つ人たち‥




独標 2701m


少しでも晴れ間のある内に‥‥と、山荘から独標までを約2時間で往復してきました
夕方からは雨が降ったりやんだり‥‥‥強い風も吹いています
明日はどうするか‥西穂高岳までにするか、それとも縦走か‥‥
時折激しく屋根をたたく雨音に、悩ましい夜を過ごしました



翌朝、午前3時から準備開始  雨はやや小康状態
雨具とヘッドランプをつけ、ザックの中身はできるだけ防水袋へ

午前4時過ぎに出発
暗闇の中に霧がたちこめて視界は不良ながら、雨はほとんど落ちていません



しだいに明るくなってきました




独標も霧の中









下方飛騨側にロープウェイの駅




振り返ると、南方に焼岳が見えてきました





5時20分 独標 2701m 
山荘から1時間20分と、昨日よりゆっくりのペースです




東に見えるのは吊り尾根、前穂高岳、明神岳
間の谷間は岳沢です




岳沢ヒュッテ‥‥




下り込み‥




前方にピラミッドピーク




午前6時 独標より40分で ピラミッドピーク 2740m




6時13分 7峰




6時17分  6峰




6時23分  5峰




6時32分  チャンピオンピーク




6時33分  4峰




6時35分  3峰




6時45分  2峰





午前7時 ピラミッドピークより1時間で 
西穂高岳
 2909m頂上に到着
西穂山荘からは3時間です



7時20分  P1














岩がかなり濡れています




午前8時40分  西穂高岳から1時間半で間ノ岳 2907m
ここで休憩




山荘で作ってもらった朝食弁当です
おにぎりは2個 水は大峰山のごろごろ水を持参
20分間の朝食休憩









9時25分 いよいよ逆層スラブの登りです






天気が良くて岩が乾いていると 
「靴底の摩擦がよくきいて、案外登りやすかった」
‥という人もいますが‥
今日はこの雨の中 岩が滑る滑る



鎖場の最後 次の鎖への持ち替えができません
岩が滑って、次の鎖へたどりつけない
あと少しなのに‥
しかたなく岩の隙間に手のひらを差し入れ、てこのようにひっかけて‥
こんなフリークライミングをすることになるとは思いませんでした





やれやれ‥ 9時55分 天狗岳 2909m 到着
間ノ岳から1時間の格闘でした

しかし‥まだ先は長い












10時20分 天狗のコル 岳沢への標識があります
このコース、唯一のエスケープルートです









時々磁石で確かめなくては、方向もわからなくなりそうです




天狗岳から、さらに岩山を登ったり下ったりを繰り返し‥






あれがジャンダルム? いや、違った
霧の中にそれらしいシルエットが浮かぶたびに、
もうそろそろ着く頃だろうと思うのですが
なかなか着きません



おそらくこの上がジャンダルム?
ルートも定かでないままによじ登っていくと‥















12時20分 ようやくジャンダルムの頂上に立つ
天狗岳から2時間30分かかりました
いやー、やっとたどり着いたよー 

ついにジャンダルム頂上に立った‥という感慨にひたった直後
全身に冷や汗がでるような出来事がおこりました
下りルートがわからない
奧穂高方面へ歩き出そうとすると断崖絶壁
右へ逃げても左へ避けても下れない
座り込んで気持ちを落ち着けて‥

確か、奧穂高方面へはジャンダルムをトラバースする
ようなことを書いたページがあったぞ




下ったり登ったりと偵察をして、ついにルートを発見
下方の小さな岩棚をたどれそうです





この岩をトラバースするのがルートのようです
いやあ、ちょっとドキドキしました





視界はこの通り
天気が良ければ奧穂高はみえているはずです










この鎖場の後も、ルートを見失ってドキドキ
ロバの耳の下りはよく滑って、かなり危険でした










13時45分
もうそろそろ終わりだろうと、岩にまたがってひと息ついたときに、現れたのがこの景色
ン? なんか書いてるぞ  ウマノセ?  ああ、馬の背
非常に難所であると聞いていた「馬の背」がまだ残っていました





こんなとがったナイフリッジがずっと続いています
右へ行ったり左へ行ったりまたがったり‥





だんだんとマヒしてきたけど、疲れがピークです






霧のかなたに、ついに見えてきました





あの標識と祠は‥
奧穂高岳の頂上です




午後2時10分 奧穂高岳山頂に到着
西穂山荘を出発してから10時間の行程でした

難しかった、怖かった、意外と簡単だった等‥ このコースにはいろいろ意見がありますが、結局はお天気次第  
良いお天気なら、眼下に上高地や奥飛騨の温泉郷を見おろしながら、すばらしい景色と高度感を楽しめるでしょう
今日のような天気だと、滑る岩肌は危険を増し、はいつくばるようにして歩く箇所がいくつも出てきます
いつか晴れ渡った日に、もう一度‥‥と思えるのは、もっと時間がたってからでしょうね
今は早く休みたい

頂上では飛騨側から猛烈な風。小さな石がつぶてになって飛んできます
これほどの風は台風の時でも経験したことがありません
気温も急速に下がり、足元の岩がピシッ、ミシッと音をたてています
穂高岳山荘まであと30分の下り  いそがなくては‥
まともに目も開けられないほどの風の中、なんとか最後の鉄梯子を下り、山荘にたどり着きました

(この翌日、新潟地方に記録的な豪雨。穂高岳山荘の屋根を、すごい雨がたたきつけていました)